iPhoneでPDFにパスワードをかける方法
Macの「プレビュー」には昔から「暗号化」のチェックボックスがあります。iPhoneにはありません——「ファイル」にも「メール」にも「メモ」にも、PDFをロックするボタンはないのです。この記事では、標準機能で可能な2つの回避策と、それではたいてい足りない理由、そして本物の開封パスワードでPDFをロックする最短の方法を説明します。
正直な答え:iOSには直接の機能がない
「ファイル」AppでPDFを開き、「ロック」「暗号化」「パスワードを設定」を探しても、何も見つかりません。「ファイル」はPDFの圧縮、複製、タグ付け、マークアップはできますが、暗号化はできません。「メール」もできません。共有シートにもありません。「ショートカット」には「PDFを作成」アクションはあっても、暗号化のアクションはありません。macOSなら一瞬でできるのにiOSには載っていない、数少ない機能の一つです。
回避策としてよく挙がるのが次の2つです。どちらも実在しますが、どちらにも落とし穴があります。
回避策1:「メモ」でメモをロックする(ロックされるのはメモで、PDFではない)
- PDFをメモに添付します(共有→「メモ」)。
- 「…」→「ロック」をタップし、Face IDまたはパスコードで確認します。
これでメモはロックされました——あなたのデバイス上では。中のPDFはロックされていません。共有した瞬間、転送した瞬間、「ファイル」に保存した瞬間に、ただの保護なしPDFに戻ります。「iPhoneを手に取った人に読まれたくない」が目的なら十分ですが、「受け取った相手にパスワードを求めたい」なら役に立ちません。
回避策2:Pagesから「パスワードを要求」で書き出す(画像のみ)
Pagesは、開くときにパスワードを求めるPDFを書き出せます。問題は書類をPagesに入れる工程です。iPhoneのPagesはPDFを「1ページ目の画像」としてしか読み込まないため、すでにある複数ページのPDFには使えません。使えるのは、手元にあるのがページの写真の場合です。
- Pagesを開き、空白の書類を作って、ページの写真を1ページに1枚ずつ挿入します。
- 「…」→「書き出す」→「PDF」をタップします。
- 「パスワードを要求」をオンにし、パスワードを入力・確認して「書き出す」をタップします。
- PDFを共有または保存します。
出来上がるのは、きちんと暗号化されたPDFです。ただ、ワープロの中で5分を費やし、ページは補正済みのスキャンではなくただの写真で、次回もまた同じ作業をすることになります。
アプリが必要になるとき
すでにあるPDF、スキャンした書類、あるいは一度きりでない作業には、iPhoneの中で暗号化できるPDFツールが要ります。選択肢は大きく次のとおりです。
- Adobe Acrobat Reader——「保護」はサブスクのプレミアム機能。
- PDF Expert——パスワード保護は有料プラン、こちらもサブスク。
- iLovePDF / Smallpdf——ほぼ無料のWebツールですが、暗号化のためにPDFをサーバーへアップロードします。「機密だからロックしたい」ファイルの扱いとしては、奇妙な順番です。
- Scaniva——完全版は買い切り¥2,000。暗号化は端末内、アカウント不要。
ScanivaでPDFにパスワードをかける(バージョン4.5.0以降)
- Scanivaで書類を開きます。スキャンしたもの、「ファイル」や「写真」から読み込んだもの、「メール」や「ファイル」から「Scanivaで開く」で渡したPDFのいずれでも構いません。
- 「エクスポート」をタップし、「パスワードまたは透かし付きで書き出す…」を選びます。
- 「パスワード」欄にパスワードを入力し、確認欄にも同じものを入力します。PDFを開く人はこのパスワードが必要になります。
- 読む側に何を許すか決めます。「印刷を許可」と「テキストのコピーを許可」をオン/オフします。
- 必要なら透かしを追加します。好きな文字を入力するか、プリセット(「機密」「コピー」「下書き」)をタップし、不透明度を調整します。すべてのページに斜めに印字されます。
- 「PDFを共有」をタップし、メール、AirDrop、ファイル、メッセージなどで送ります。
受け取った側は、どのPDFリーダーでも——プレビュー、Acrobat、Chrome、Edge、「ファイル」App——開こうとするとパスワードを求められます。相手側に何かをインストールする必要はありません。これはPDFの標準的な暗号化で、この20年に作られたどのリーダーでも扱えます。
パスワードは別経路で
PDFはメール、パスワードはメッセージで。添付ファイルと同じメールにパスワードを書いても、うっかりダブルクリックを防ぐ以上の効果はありません。
PDFのパスワードが守るもの、守らないもの
ここは正確に書いておきます。PDFにおける「保護」には、性質の違う2つがあるからです。
- 開封パスワードは本物の暗号化です。パスワードがなければ中身は判読できません。リーダーもメールサーバーもクラウドのプレビューも検索インデックスも、テキストや画像を見ることはできません。裏口はなく、パスワードを忘れればそのコピーは失われます(Scanivaの中の元の書類はそのままです。保護されたファイルは書き出したコピーです)。
- 印刷・コピーの制限は「お願い」であって、錠前ではありません。行儀のよいリーダー——プレビュー、Acrobat、Chrome——は制限に従い、「プリント」や「コピー」をグレーアウトします。しかし、開封パスワードと適切なツールを持つ相手が本気になれば外せます。「印刷不可」は明確な意思表示として捉え、保証だとは考えないでください。
- 透かしは目に見える抑止力です。全ページに斜めに入った「機密」の文字はスクリーンショットを防げませんが、転送を想定した書類でないことをはっきり示し、印刷やコピー機を経ても残ります。
「PDFをロック」には「アプリをロック」の意味もある
本当の目的が「iPhoneを借りた人にスキャンを見られたくない」なら、それは別の機能の話です。Scanivaには設定にアプリロックがあり、アプリを開くのにFace IDまたはTouch IDが必要になります。ファイルそのものにパスワードがかかるわけではなく、玄関の鍵であって、書類一つひとつの鍵ではありません。
料金について
パスワード保護、権限設定、透かしはScanivaの完全版の機能です。買い切り¥2,000、サブスクなし、アカウント不要。無料版の書き出しには各ページに小さなフッターが入ります。暗号化はiPhoneの中で行われ、ファイルはサーバーを通りません。
iPhoneを出る前にロック
スキャン、署名、パスワード保護、透かし——すべて端末内で。無料で試せて、完全版は買い切り¥2,000。
よくある質問
アプリなしでiPhoneのPDFにパスワードをかけられますか?
直接はできません。「ファイル」「メール」共有シートに暗号化の項目はありません。標準機能で唯一の道はPagesで、ページ画像から書類を組み立ててPDF書き出し時に「パスワードを要求」をオンにする方法です。「メモ」のロックはデバイス上のメモを守るだけで、中のPDFは共有した時点でロックなしになります。
PDFのパスワードを後から外すには?
Scanivaで保護ファイルを作った場合、ライブラリ内の元の書類にはパスワードがかかっていないので、パスワードなしでもう一度書き出せば済みます。他人から受け取った保護付きPDFの場合、iOSにはパスワードを外す標準機能がありません。Macならプレビューでパスワードを入れて開き、暗号化なしでコピーを書き出せます。iPhoneでは、ロック解除機能のあるPDFアプリが必要です。
パスワードの代わりにFace IDでPDFをロックできますか?
PDFの形式にFace IDという仕組みはありません。Face IDでロックできるのは、自分のデバイス上のアプリやメモです(Scanivaには設定にアプリロックがあります)。誰かに送るファイルについては、ファイルと一緒に移動する鍵はパスワードだけです。
PDFにパスワードをかければ、GmailやiCloudに中身を読まれませんか?
はい。開封パスワードは中身を暗号化するため、メールサーバー、クラウドのプレビュー、検索インデックスには不透明なファイルにしか見えません。パスワードは添付ファイルとは別の経路——たとえばメッセージ——で送ってください。
パスワードなしで透かしだけ付けられますか?
できます。保護付き書き出しの画面でパスワード欄を空のままにし、透かしだけ追加してください。PDFは普通に開け、「機密」「下書き」「コピー」または自分で入力した文字が全ページに斜めに入ります。先に署名が必要なら、iPhoneでPDFに署名する方法をご覧ください。